父の涙こそ私の集大成

2021年5月7日 オフ 投稿者: h2l7u3ud

私には大切にしている写真があります。それは私が小学校6年生の時、チームの最後の大会の日の写真です。私は小学校でサッカーチームに入りましたが上手な方ではなく、レギュラーとして試合に出ることはあまりありませんでした。父はボランティアのコーチとしてチームに携わり、練習や送迎などチームの為に尽くしてくれていました。しかし下手な私は監督に怒られることも多く、私が試合でミスをすると保護者の人たちからはため息が聞こえました。今思うと父はもどかしい気持ちだったと思います。ただ、どんなに結果が出なくても父はサッカーのコーチを辞めませんでした。私が泣いてばかりでも、父は堂々としていました。私が試合で迷惑をかける分、チームのサポートに貢献してくれたのです。6年生になると最上級生ということもあり、試合にも出れるようになりました。しかし私には気になっていることがありました。それは公式戦で一度もゴールを決めたことがなかったことです。DFというポジションのせいもありましたが、自分が点を決めてチームメイトから祝福される姿を、私は父に一度でいいから見せたいと思っていました。そして最後の大会、チームはトーナメントで破れて3位決定戦へ。本当にこれが最後の試合。0-3で後半間際。チームは諦めムードでしたが、私は神に頼みました。人生で初めて心の中で願いました。「点を獲りたい」と。すると奇跡は起きました。私が味方に蹴ったボールがそのままゴールに吸い込まれていったのです。私は呆然としましたが、チームのみんなが駆け寄ってくれました。試合は勝てないだろうし、残り時間も少ないのに、みんなが祝福してくれたのです。引退して暫くすると、保護者の方から一枚の写真を貰いました。私のゴールの瞬間、監督や他のコーチが笑っている端に、泣いている父がいました。他の人には小さな事でも、私にとっては大きなことを成し遂げたように思えました。私は今でもこの写真を大切にしています。